HOME = =

「ディープキス」
僕が通う地方の理系大学。実験・実習は特に面倒で。
手本とされるデータが取れなければ授業時間を過ぎても帰ることはできなかった。
手狭な賃貸ハイツに帰宅するとすぐにデータをまとめてレポートの作成を始めなければ到底終わらない。

期限までにレポートを提出できなければ再実験をやらされることになる。
ツテで先輩達の前年までの資料を入手できればレポート作成の時間が短縮できるけれど、 それも大学側が対策を立てているらしく、書き写す程度のやりかたでは受領してもらえないと周りのみんなは言っている。

僕にはツテも無いので、良くもない頭で寝る時間を削って真面目にレポートを書き上げるしか方法はなかった。

だから、留美からの連絡に。
留美からのビデオ通話に出られないことがある。

メッセージはSNSで時々送ってくれるが、お互いの生活の中で、いつも気になってしまう生活はネットに縛られてしまうので、そんなに送り合う事は無かった。



二回目の留美とユウジくんの寝取られの連絡は、突然にやってきた。



◆ ◆ ◆



実験がうまく終わらず、夕方にまだ実験室に居た今日。
スマホに留美からライブ通話がかかってきた。

留美がユウジくんと二回目をはじめる連絡だった。

今は通話に出られない。
スマホのバイブが何回も揺れる、が、実験中は出られない。
切れた。

僕の都合で生中継を観られなくても、留美とユウジくんは行為をしてよい約束になっている。

僕が実験で観られないのに。
僕は早く帰りたいのに。
留美が今からユウジくんとディープキスをする。
そうだ。今日はディープキスをするんだ。

留美が言っていた、
「次の時はユウジくんに」
「舌を入れてもらうね」
の連絡が、今来たんだ。

今、しているんだ。
べろべろしているんだ。
じゅぶじゅぶチューしているんだ。
どこでどんな場所で、べろべろにユウジくんに舌を入れられて。
留美がキスしている。ディープキスしている。今している。
喘ぎながら、声を出して。今、留美が。
はじまってる。今、はじめてる。留美が。ベロベロしてる。留美が。





口が渇く。
どうしようもない。

ちんこが充血して貧血気味で頭が回らなくて心臓がバクバクして集中できなくて。



実験は失敗してもう一度やり直した。



◆ ◆ ◆



その日の。
留美の寝取られ動画は。録画された動画は夜になって送られてきた。

留美からのメッセージ。
「アップしたよ」



ユウジくんは電脳に強かった。
留美が言うには、パソコンやインターネットにとても詳しいらしい。

僕が自分のノートパソコンを使って、ユウジくんが用意したクラウドにログインすれば、録画された動画ファイルが都度アップされている約束だった。

必要経費は全て僕払い。

留美の寝取られで、二人の開始の合図に僕がライブ通話に出ようが出られまいが、留美とユウジくんの二人は行為を開始する。

その様子は動画に撮っておいてもらう約束で。
動画がアップされたら留美から連絡が来る。

ユウジくんがセッティングしてくれたソフトのおかげで漏洩の心配はなく、絶対に安全だという。

僕がライブ通話で生の寝取られを観てもいいし、後でじっくり録画された動画を見て何回楽しんでもいいし。
好きなように楽しめる環境になっている。



でも。



そんな心の余裕なんて無かった。
留美が寝取られることだけで生活の全てで頭も体も乗っ取られたようになった。

さっき帰宅してからも、レポートは全然進んでいない。
実験の時から頭の中は留美がベロベロに口をディープキスをして犯されている想像で埋まっていた。

今日は留美がどんなキスをされたか。

ただただ。観たい。
そして、今、観ることができる。

自分の物凄い心臓の音を感じながらノーパソを開いて動画をダウンロードした。



◆ ◆ ◆



動画は留美の声ではじまった。
「ユウジくん、急いで。お母さん10分くらいで戻るって」

映った様子は、玄関みたいだった。
僕は留美のマンション宅に行ったことはない。

動画を撮っているスマホが何かに置かれた。
玄関の下駄箱か棚のなにかに置かれたみたいだった。

ユウジくんが二人がカメラに収まるようにスマホの位置を調整しながら言った。
「ライブ通話、出なかったんですね」

僕のことを言っている。
今日、実験をしていたから電話に出られたかった時間帯だ。

留美は私服で、服を整えるとカメラに向かって言った。
「今、私のウチの玄関です。学校が終わったユウジくんに来て貰いました」

ユウジくんはスマホのカメラを調整し終わって留美の前に立った。
二人とも玄関の狭いスペースに立っている。
玄関から室内にあがる様子は無かった。

留美が説明した。
「お母さんがちょっと出かけている間に、しちゃいます。」



留美が一息ついて、バタバタしていた空気が一転する。
カメラを見て、ユウジくんを見て、カメラを見て。
「今日は……、ユウジくんに舌を入れてもらうね。」



ユウジくんが留美の肩に手を置いた。
「いい? 留美お姉ちゃん」

留美が答えた。
「いいよ……お願い」



動画が始まって、あっという間に。
二人の行為が始まった。



◆ ◆ ◆



「ん……んむ……むあ……」
「……ン……アン……んん…っ」
「ンーー……んぶ……はぁ……んんっ!」
留美の声。

ちゅむちゅむと小さな音。
ユウジくんの舌が留美の口に入っている。

留美はユウジくんの身長にあうように。
あごを少し上に上げて。

唇がスッと開いてユウジくんの舌を迎え入れた。

留美の声。
「うんンっ……ンン……んんんっ」

留美とユウジくん。二人の唇が大きく重なる。
前回の、唇をあわせるだけのキスとは、全然違う。

顔を押しつけて唇が潰れるように合わさったキス。
ディープキス。
ベロキス。
べちょべちょのキス。



留美の声が頭に響く
「んんンっ……んー……んーー!」

時々、甲高く。小鳥が啼くような声。
「ンンーーーっ……ア……んっ……んん」



僕が留美とキスした時ってこんなだっけ。
違う。



目の前で留美が僕じゃない男とべろべろにキスしている。
甘い声で。喘ぎ声で。可愛い声で。
「ん……っあん……んんーーーっ……ん!」





留美の口が犯されている。
ユウジくんの舌で留美のクチが。
クチの中が。舌がべろべろに。べろべろに。

クチを開いたりくっつけたり。
じゅぶじゅぶ。ちゅぷちゅぷ。

留美の乱れた息と声。
ユウジくんにべっちょり吸いつかれ舌を入れられる。
「…はぁっ……はぁっ……ん! んんんーーっ!」
留美が喘ぎながら、ベロを絡めてユウジくんに応える。



留美は目を閉じて。
眉は寄って困惑の表情をしているが、嫌がっているようには見えない。

ユウジくんのキスを受け入れて。
ユウジくんの舌を受け入れて。
口の中を舐められて。
唾液を交換して。
混ぜて、舌をあわせて、粘膜をこすり合って、唾液を絡めて。舐めて舐めて舐めて。
舌を絡めてちゅばちゅばと。唾液を絡めてにゅぶにゅぶと。



お互いに相手の唾液を吸い上げている。
じゅぼっ!じゅぼっ!っと音がする。



留美が舌を出して、ユウジくんの舌と絡め合う。
留美が声を上げてユウジくんの舌を求める。
「…うン……んー……んん……ん…」

甘い喘ぎと、ちゅぱちゅぱの音。
舌がベロベロと動き舐め合い。唾液を吸う。

じゅばっと唇が深く重なりむにゅむにゅと唇がうごめく。



ユウジくんの両手は留美の両肩を押さえている。
留美の身体は硬直しているように動かない。

留美は身体を動かさないようにというか、動けないというか。
ディープキスに集中していて身体が棒立ちになっているみたいだった。

留美の顔は真っ赤だった。
僕が知っている留美とは違う、なんか。とても弱々しい感じに見えた。

でも、留美の舌はハッキリ動いていた。
ユウジくんと舌を舐め合っている。
顔を真っ赤にして。
唇からは涎が垂れ始めていた。
だらだらと。
拭くこともせずに。
留美の顎まで二人の混ざった唾液が垂れていた。



じゅぶじゅぶ。じゅばっじゅばっ。
静かななかでふたりのベロキスの音と留美の声がつづく。

ユウジくんは全く言葉を発せずに。
留美の口内を攻め、舐め、吸い、唾液を混ぜて、留美のクチの液を味わっていた。



ひたすらずっと。留美の喘ぎ声だけが聞こえていた。
「んあ……ああ……んんん……」

目を開けてユウジくんを見る留美。そして目を閉じて。吸いつく。
「んー……むあ……ん……んう……」

互いに顔をかたむけて唇を深く混じり合わせる。
「あっ……はっ……んむ……!」

吸いついて。離れて。舌をベロベロつつき合って。じゅばっと吸いついて。
「ンはぁ……っん!……んーん……んむ」

ユウジくんの強いキスに顔をゆがめる留美。

それでも激しく舌を入れて応える留美。
「んあ……ん……んんん」


とまらない。やめない。べろべろと舐め合う。



長い時間。二人は生の温かい唾液を混ぜ合っていた。

僕は。口を開けて。だらんと舌を出して。空気を舐めていた。



◆ ◆ ◆



不意に、留美がガクガクガクッと身体を揺らした。



ユウジくんとのベロキスで。
イった?



それを支えたユウジくんに向かって留美が言った。
「だめ……おかあさん帰ってきちゃう……。」

ユウジくんは、うんと頷いて。



ふたりは最後に大きく口を開けて寄せ、舌を絡めて深い深いキスを交わし、離れた。



抱き合ってもいない。肩を寄せただけのキス。
それなのにべったりと。
二人の唇は互いのよだれで濡れていた。





真っ赤な顔で留美がカメラに。僕に向かって言った。
「……どうだった?」



僕に訊いている。

これは録画だ。

でも。
留美は多分、判ってて僕に訊いている。

僕は動画の再生をしたときからオナニーしていた。
僕のちんこは今、握りしめて充血で。先走りでドロドロで痛い。
少し精液も出てしまって、それでもしごき続けていた。


留美がつづけた。
「……今日は終わり……。またね……」



おわりに留美が僕に言った。
「……レポート、頑張ってね」

全て見透かされているような。
理解されているような。
安心感と最悪な現実。



動画の中の二人は、まだ息が荒いままだったけど。
寝取られの、ディープキスは終わった。



スマホの撮影が終わる直前。留美がユウジくんに言った。
「ユウジくんが学校から帰ってて良かった。連絡くれてありがと」

ユウジくんは優しく笑ったようだ。

留美は最後にユウジくんに謝っていた。
「今日、予定なかったのに、急に呼び出しちゃってごめんね」



慌ただしかったことを謝ったんだ、と、思ったら。

違った。

「今、ユウジくん居るんだーって知ったら、我慢できなかったから……」




Since Mar.22.2020 Copyright © "SOYOKAZEKAORI" ALL RIGHTS RESERVED.


メニュー

AI


MENU 2
MENU 3
------
リンクは soyo.pink へ張って頂けると幸いです。ご意見・ご感想はツイッター、または、ノクターンノベルズの当方投稿感想宛までお願い致します。