「デート」
ユウジくんに寝取らせをお願いする時に、いくつかルールを決めた。
・僕と留美で決めたことを留美がユウジくんに伝え、二人でするかしないか決めて貰う。
・留美の嫌がることはしない。
・ビデオ通話アプリで僕に生中継で二人のしていることを見せてもらう。録画もする。
・生中継ができない時は、録画した動画で報告する。
ユウジくんはインターネットや撮影機材に詳しいらしく、心配は要らないと言った。
僕が普段スマホを持ち歩くか、自宅でパソコンをインターネットに繋いでいればそれで良いと言われた。
◆ ◆ ◆
日曜日。
留美とユウジくんがデートすることになった。
二人が住むマンションから数駅離れた駅前をぶらつくことに決めたと。
僕は大学生活のために借りている賃貸の一室で、今日一日はノートパソコンを机において、ひたすら二人のデートを見ることになった。
留美とユウジくんの二人はデートする駅前で待ち合わせ。
ビデオ通話アプリが繋がった。
二人が歩き始めたところだった。
ユウジくんがスマホで留美を撮ったり歩いている街を撮ったりしながら、二人の会話が聞こえてきた。
二人の会話は普通の知り合いのそれだった。
今日から寝取らせを始める、という感じではなかった。
喫茶店に入っても特に変わらず。
二人は同じマンションで母親同士が仲が良いので、母親の話題が多かった。
両方の両親あわせて4人が色々と付き合いがあって、旅行に行きたがっている話なんかが出ていた。
結局、二人からそれらしい話も出ず。
途中、生中継は切れたりもしたけど、問題も無く。
デートは終わり、電車に乗って二人は最寄り駅へ帰ってきた。
◆ ◆ ◆
今日の二人はデートだけ。
帰りの歩き道の二人の会話では、デートと言うほどのモノでもなかったのだと。
結局のところ、留美とユウジくんの二人が今まで通りの関係で居られるかのほうが大事だったと。
そして、大丈夫だと。
二人が住むマンションへ戻ってきた二人。
今日は日曜日。二人とも親が自宅に居る。これで解散になるはずだった。
エントランスに入ると向き合った。
明らかに今日一日のデート中にはなかった雰囲気を感じた。
見つめ合った沈黙のあと、ユウジくんが口を開いた。
「あそこ行ってみようか」
留美がこたえた。
「そうだね」
ビデオ通話アプリは繋いだまま。
二人はマンションの中のある場所へと向かい始めた。
Since Mar.22.2020 Copyright © "SOYOKAZEKAORI" ALL RIGHTS RESERVED.