砂川留美。僕の彼女。スナカワルミ。
留美と僕は大学1年。大学は別。留美が都内で僕は地方。
高校が同じクラスで3年間、だんだんと仲が良くなり。
大学受験の前に告白したらOKしてくれて恋人になった。
ただ、僕が地方の大学生になってしまったので恋人生活もほぼ無いままに。
進学した今は週末に無理をすれば会える程度の遠距離恋愛になっている。
留美はそんなに人付き合いが得意ではなくむしろ苦手なほうで。
遠距離で別れることになってしまうかと思ったら、大学でも恋人のままでいてくれた。
僕の今はただただ忙しい理系の大学生活で。
留美と気軽に会うことはできない。
ユウジくんは留美と同じマンションに住んでいる高校3年。
母親同士の仲が良く、度々食事などで会っていたらしい。
頭は良くて大学進学は確実。
勉強詰めの生活もそこそこにして、もっと遊びたいと留美によく話してたという。
僕は留美のマンション前で数回だけユウジくんとすれ違ったりして容姿と声は知っている。
背が高くいわゆるイケメン男子高校生だった。
歳は大して違わないのに母親の言いつけで今になっても留美のことを「留美お姉ちゃん」と呼んでいて。
馴染みとはいえ男子高校生にお姉ちゃんと呼ばれるのは恥ずかしい、と、留美は言っていた。
僕が地方へ引っ越しする日。僕の寝取らせの性癖が留美に知れた。
自分の彼女を他の男に貸し出して興奮する性癖。寝取らせ。
高校の友達に見せて貰ったエロ本を読んでから、好んでソレをオカズにするようになっていた。
引っ越しの手伝いをしながら僕の数冊のエロ本を見つけて読んでしまった留美。
その時の留美は何も言わず。
引っ越ししてから数週間後に留美との電話で話をした。
言い訳したせいか、その時の会話はよく覚えていない。
ただ、留美の。
「寝取られ。シても良いよ」
その言葉を止めることはできなかった。
ふたりでその相手はユウジくんに決めた。
僕と留美が付き合っていることを留美の両親もユウジくんの両親も知っている。
ユウジくんを巻き込むのは気が引けたけど、他に思いつかなかった。
後日。留美にユウジくんと会ってもらい、留美のスマホを通して僕がユウジくんに依頼した。
ユウジくんはしばらく絶句していたが、隣に居た留美に質問した。
「留美お姉ちゃんは本当に良いの?」
ユウジくんの問いかけに、少しして。
「うん。お願い」
と答えた留美。
沈黙のあと。ユウジくんが僕に言った。
「俺は留美お姉ちゃんの願いならなんでもするし、止めると言うまでは止めません。それでいいですね?」
僕は答えた。
「いいです。おねがいします」
僕は地方の理系大学で毎日実験が多い忙しい生活。上京も厳しい。
ユウジくんは受験生だけど進学安泰で夕方と週末は自由な生活。
留美は都内の文系大学でバイト以外は自由な毎日。
留美とユウジくんは同じマンション。
どちらも両親と同居。親が不在の日や帰宅する時刻はまちまち。
近日中のデートから。
留美の寝取らせが、始まった。
通話の切り際にユウジくんが僕に言っていた。
「ゾクゾクしますね」
◆ ◆ ◆
あれから数ヶ月。
留美とユウジくんの間でなにかがおこなわれるたびに。
できるだけシているその時に。
できないならば動画で撮っておいてあとで。
都度、僕宛てにDMや動画で報告する約束になっていた。
正しくは、僕と留美でそう決めて、留美がユウジくんに撮影をお願いした。
約束は守られ、ふたりがデートをする度に。
逐一メッセージが届いていた。
胸が張り裂けそうで。吐き気がして。
興奮した。
ただ、双方の親が自宅マンションに居ない日はそんなに都合良くあわなかった。
かといって外で行為をするのは、友人に知られたり万が一のリスクを考えると、今はしたくないと。
双方の実家に両親達ができるだけ居ない時。
ふたりきりになっても怪しまれない状況。
平日夕方のわずかな時間か、休みの日で条件が揃う日。
週に一度、有るか無いかのわずかな二人の密会の時間。
ゆっくりと少しずつ。
でも、確実に。
セックスのために。
セックスするために。
セックスで混じり合うために。
留美とユウジくんの二人の時間は重ねられていった。